平成28年に改正された風営法により、特定遊興飲食店営業という新たな形態が新設されました。深夜営業で酒類を客に提供し遊興させる場合、特定遊興飲食店営業の許可が必須になったのです。ここでは、特定遊興飲食店の定義や遊興の範囲について説明していきます。
風営法改正の背景と特定遊興飲食店営業が新設された理由
平成28年の風営法改正は、クラブやライブハウスなど深夜に音楽・ダンスを提供する店舗が、従来の風俗営業の枠組みでは適切に規制・保護できていなかった点を是正する目的で行われました。これにより、いわゆる「深夜クラブ問題」を整理するため、接待を伴わずとも深夜に遊興を提供する営業形態として、特定遊興飲食店営業が新設されたのです。
特定遊興飲食店とはどういうものか
特定遊興飲食店営業に関して以下のように定義されていますので、自分の店が当てはまるかどうか確認してみましょう。
特定遊興飲食店営業とは
- 午前0時以降に営業
- 客に酒類を提供する
- 客に遊興させる
大きく上記3つの条件を満たす店について特定遊興飲食店営業の許可が必要になり、許可の申請は、店舗の住所を管轄する警察の生活安全課に対して行い、同じく住所を管轄する公安委員会により許可がおります。同時に、飲食提供のための店であることから、食品衛生(飲食店営業)の許可を保健所から得る必要も出てきます。ただし、実際の申請においては、担当者の裁量が大きく影響することから、厳密な判断基準を導き出すことは適切ではないといえるでしょう。
特定遊興飲食店営業と他の営業形態との違い
特定遊興飲食店営業は、接待を伴う「風俗営業1号(社交飲食店)」とは異なり、特定の客への接待を行わず、不特定多数の客に対して遊興を提供する点が特徴です。また、単なる深夜営業の飲食店(深夜酒類提供飲食店)とも異なり、「遊興」が加わることで、より厳格な許可制が採られています。
深夜酒類提供飲食店営業との区別が重要
午前0時以降に酒類を提供して営業する店舗であっても、「客に遊興させない」場合には、特定遊興飲食店営業ではなく、深夜酒類提供飲食店営業の届出で足りるケースがあります。この区別を誤ると、無許可営業として行政処分や刑事罰の対象となる可能性があるため、事前の業態整理が極めて重要です。
営業区域・立地規制にも注意が必要
特定遊興飲食店営業は、用途地域による立地規制を受ける場合があります。特に、住居専用地域や学校・病院の周辺では営業が制限されることがあり、同じ市区町村内でも出店可能な場所と不可能な場所が分かれる点に注意が必要です。
無許可営業を行った場合のリスク
特定遊興飲食店営業の許可が必要であるにもかかわらず、無許可で営業した場合、営業停止や許可取消しだけでなく、刑事罰が科される可能性があります。また、将来的に別の風営関連許可を取得する際にも、不利に働くおそれがあります。
特定遊興飲食店営業に関する規定
特定遊興飲食店営業に関する規定とは、店舗を置く地域や営業制限時間、店舗周辺に与える騒音や振動についてその上限などを定めるものです。
【申請手数料】
3ヶ月以内の営業:14,000円
その他に当てはまる場合:24,000円
【ゲームセンターへの少年の出入りについて】
法改正前:午後6時以降は16歳未満の少年を入場させてはいけない
法改正後:午後6時以降~午後10時までの間に16歳未満の少年を入場させる場合は保護者の同伴を必要とする
「遊興」とはどういうものか
特定遊興飲食店営業では客に遊興させるかどうかが該当基準のひとつになりますが、具体的にどのような行為が遊興に当たるのでしょうか。
遊興に該当する行為
不特定多数の客に対して歌や踊りなどを見せることは接待に当たるとされていることから、「客に遊興させている状態」と考えることができます。同じ理由から、生演奏バンドなどの音楽を聴かせる行為も、深夜0時を超えて行ってはなりません。また、カラオケなどを客に勧めたり積極的に盛り上げたりすることも、接待に該当するとされ客に遊興させる行為だといえます。具体的な例を挙げてみましょう。以下は、不特定多数の客に対する行為です。
- ダンスやショー、生歌唱や生演奏などを見せたり聴かせたりすること
- ダンスをさせる場を設置しダンスさせることや照明を落としたり音楽をかけたりすること
- ゲームなどに参加させること
- カラオケ設備を設置し客に歌唱を勧めたり合いの手や拍手を送ったり褒めはやしたりすること
- スポーツ映像などを配信して客に観せて応援を勧めたりすること
遊興に該当しない行為
一方、同じ条件でも客に積極的な参加を求めない場合などは、遊興に該当しないことがわかります。
- カラオケボックスのようにカラオケを設置した店舗を客に使用させること
- カラオケを不特定の客が自ら利用することを望んだとき、マイクなどを渡しカラオケを作動させること
- ガールズバーやメイドカフェなどにおいては、ショーやゲーム大会を提供することなく、単に飲食物を提供すること
- ボーリングなどのゲーム設備を備え、不特定の客が自らの意思で自由に使用できるようにすること
- スポーツ映像などを配信して客に観せて客が自らの意思で応援すること
まとめ
特定遊興飲食店営業はこの数年で改正されたものであることから、すべての事業者がその決め事を把握しきっていない可能性もあります。しかし、正しい許可を得ないまま営業してしまうことは非常にリスクが高いため、専門家の力を借りて深夜店舗の開業を目指すことをお勧めします。一方、酒類を提供しなかったり深夜0時から6時までは営業しない形態をとったりする場合は、特定遊興飲食店営業の許可が不要になる可能性もあるので、専門家への相談はぜひ積極的に行うべきでしょう。








