運送業と収集運搬業を簡単に説明すると

運送業と収集運搬業はいずれも「自動車を使って物を運ぶ仕事」であるため、混同されやすい業種です。しかし、運ぶ対象となる物の性質根拠となる法律がまったく異なるため、必要な許可や遵守すべきルールも大きく異なります。

 

実務上も「どちらの許可が必要か」を誤認したまま事業を開始してしまうケースがあり、無許可営業として行政処分や罰則の対象となる可能性があるため、事前の正確な理解が重要です。

 

ここでは、それぞれの事業内容をできるだけシンプルに整理し、違いが直感的に理解できるように説明します。

 

運送業(一般貨物自動車運送事業)

運送業(一般貨物自動車運送事業)とは、運賃をもらって自動車で貨物を運送する事業のことをいいます。

ここでいう「貨物」とは、商品・製品・資材・引越荷物など、本来価値があり、利用や販売を目的として移動させる物を指します。運送業は「貨物自動車運送事業法」を根拠法令としており、国土交通省(運輸局)の許可を受けて営業します。代表的な例としては、次のような業態が挙げられます。

  • メーカーや卸売業者の商品配送
  • 建設資材・機械の運搬
  • 引越運送
  • 企業間の定期配送業務

このように、経済活動に伴って発生する「流通の一部」を担うのが運送業です。

 

なお、一般貨物自動車運送事業を行うには、営業所・車庫・車両台数(原則5台以上)・運行管理体制・資金計画など、厳格な許可基準を満たす必要があります。さらに、許可取得後も運行管理者の選任、点呼の実施、事故報告、各種年次報告など継続的な法令遵守義務が課されます。

 

収集運搬業(産業廃棄物収集運搬業)

収集運搬業(産業廃棄物収集運搬業)とは、運賃をもらって自動車で産業廃棄物を運送する事業のことをいいます。ここで運ぶ対象となるのは、事業活動に伴って発生した不要物(廃棄物)であり、再利用や販売を目的としない点が大きな特徴です。


収集運搬業は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」を根拠法令としており、都道府県知事等の許可を受けて営業します。代表的な例としては、次のようなものがあります。

  • 建設現場から出るがれき・廃材の運搬
  • 工場から排出される汚泥・廃油・廃プラスチック類の運搬
  • 事業所から出る産業廃棄物の回収・運搬

 

収集運搬業は、環境保全・適正処理を目的とした業種であり、不法投棄防止などの観点から厳格な管理が求められます。

 

産業廃棄物収集運搬業の許可は、運搬を行う「都道府県ごと」に取得する必要があり、複数県をまたぐ場合はそれぞれの自治体で許可申請が必要になります。また、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付・保存義務や講習会修了要件など、環境法令特有の管理義務が課される点も重要です。

 

運送業と収集運搬業の違い

どちらも運賃をもらって自動車で荷物を運ぶという点で共通しています。しかし、運送業は貨物自動車運送法収集運搬業は廃棄物の処理及び清掃に関する法律という別々の法律が根拠法令となっています。よって運送業許可を持っていても廃棄物の運搬はできません。逆もまた然りです。

 

実務では「有価物として売買される金属くず等」が貨物か廃棄物か判断に迷うケースもあり、契約形態・取引価格・排出状況など総合的事情で判断されます。判断を誤ると無許可の産業廃棄物運搬とみなされるリスクがあるため、グレーな案件では事前に行政や専門家へ確認することが重要です。

 

貨物と廃棄物の違いとは

ではここで問題になってくるのが貨物と廃棄物の定義です。一見すると貨物の中に廃棄物も含まれているような気がしてしまいます。たしかに、貨物に関しては法令で明確な定義はされていません。対して、廃棄物に関しては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で明確に定義されています。

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃アルカリ、廃プラスチック類その他法令で定める廃棄物(輸入された廃棄物並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物を除く)のことを言う。

細かい法律的な解釈を省略して簡単に言うと、貨物=生活に必要なもの、廃棄物=生活に不要なものと考えると良いかもしれません。

 

まとめ

運搬業と収集運搬業のそれぞれの違いについて説明しました。運賃をもらって運送するという点で共通している運送業と収集運搬業ですが、実は全く別物でそれぞれ別の法律を根拠としています。また、今回は紹介できませんでしたが、許可の要件も申請書の様式も違っています。

 

ケースバイケースですが、運送業許可に比べて収集運搬業の方が資金の要件や人の要件も割と易しめです。昨今は対外的なイメージアップなどのために収集運搬業者が運送業許可を取得するケースも増えています。運送業許可や収集運搬業許可について不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

 

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