建設業許可は個人事業主でも取得できる
建設業許可は法人だけの制度ではなく、個人事業主であっても要件を満たせば取得可能です。実際、中小規模の建設業者や職人の方が個人名義で許可を取得し、元請・下請として事業を行っているケースも少なくありません。
ただし、軽微な工事のみを請け負う場合は建設業許可が不要であり、一定金額以上の工事を請け負う場合に許可が必要となる点を理解しておく必要があります。
個人事業主が取得した建設業許可の性質
個人事業主が取得する建設業許可は、事業そのものではなく「人」に紐づく許可です。この点が法人許可との最大の違いであり、事業承継や将来の法人化を考える際に重要な判断材料となります。そのため、営業所の所在地や経営業務管理責任者・専任技術者などの要件も個人本人を基準に審査されます。
法人許可との決定的な違いとは
法人が取得した建設業許可は法人そのものに帰属するため、代表者が交代しても許可は存続します。一方、個人事業主の許可は本人に帰属するため、死亡や廃業により原則として失効する点が大きな違いです。また、法人は役員変更や本店移転などの届出で許可を維持できるのに対し、個人は事業主体の変更自体が許可の消滅につながるという特徴があります。
個人事業主が建設業許可を取得するメリット
個人事業主が建設業許可を取得する最大の利点は、法人設立をせずに許可を取得できる点です。初期費用や手続負担を抑えながら、一定規模以上の工事を合法的に請け負うことができます。
法人設立が不要でコストを抑えられる
法人設立には、定款作成、登記、資本金準備などが必要で、司法書士費用を含めると一定のコストがかかります。個人事業主であれば、これらの手続きを行わずに建設業許可を取得できます。
提出書類が比較的少ない
法人に比べ、個人事業主の建設業許可申請は提出書類が少ない傾向があります。そのため、行政書士など専門家に依頼する場合でも、費用を抑えられるケースがあります。ただし、経営業務管理責任者の経験証明や専任技術者の資格証明など重要書類は厳格に審査されます。
個人事業主で許可を取得するデメリット
一方で、個人事業主として建設業許可を取得する場合には、取引面・承継面での制約があることも理解しておく必要があります。
取引先が限定される可能性がある
元請業者や発注者が大企業や公共団体の場合、取引先を法人に限定しているケースがあります。そのため、個人事業主というだけで受注機会が減る可能性があります。特に公共工事では経営事項審査や入札資格審査が必要となり、事業規模によっては法人の方が有利になる場合があります。
許可が原則として引き継げない
個人事業主が死亡した場合、建設業許可は原則として失効します。また、個人事業主が後に法人化した場合でも、許可を法人へ引き継ぐことはできず、新規で取り直す必要があります。このため、将来的に法人化を予定している場合は最初から法人で取得する方が効率的なケースもあります。
個人事業主が法人化する際の注意点
将来的に法人化を検討している場合、個人で許可を取るか、最初から法人で取るかは重要な判断ポイントです。法人化後は、改めて建設業許可の新規申請が必要となり、時間と費用が二重にかかる可能性があります。
建設業許可の相続制度
個人事業主が死亡した場合でも、一定の要件を満たせば建設業許可を相続できることになっています。これにより、事業の継続性が大きく改善されています。
建設業許可を相続するためのポイント
個人事業主が亡くなった場合、本人の死後30日以内に相続人が「建設業許可承継認可申請」を行うことで、建設業許可を承継できます。これにより、親から子へ建設業を引き継ぎ、事業を中断せずに継続することが可能となりました。
※すべてのケースで自動的に承継できるわけではなく、相続人が欠格要件に該当しないこと、許可要件(経営業務管理責任者・専任技術者等)を満たすことが必要です。
まとめ
個人事業主でも建設業許可は取得できますが、取引の幅・事業承継・法人化の予定によって最適な選択は異なります。短期的なコストだけでなく、5年後・10年後を見据えた判断が重要です。迷った場合は、建設業許可を専門とする行政書士に相談することをおすすめします。








