探偵業を営むには、公安委員会への届出が法律で義務付けられています。無届で営業した場合は違法となり、行政処分の対象にもなります。本記事では、探偵業の定義から届出手続き、必要書類、探偵業法による規制や注意点までを体系的に解説します。
探偵業とは何か
探偵業とは、他人の依頼を受けて特定人物の所在や行動に関する情報を収集し、尾行・張込み・聞込みなどの方法によって実地調査を行い、その結果を依頼者に報告する業務をいいます。過去に違法調査やトラブルが多発したことから、探偵業の業務の適正化を目的として法律による規制が設けられています。
探偵業開始には公安委員会への届出が必要
探偵業を営もうとする者は、「探偵業の業務の適正化に関する法律」第4条に基づき、営業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県公安委員会へ届出を行わなければなりません。届出を行わずに営業した場合は違法業者と判断されます。
探偵業とみなされない業務
すべての調査業務が探偵業に該当するわけではありません。次のような業務は、探偵業には該当せず、届出は不要とされています。
- 学術的調査活動(分析・評価が前提のもの)
- 弁護士業務
- 税理士業務
- 報道機関の依頼を受け、報道目的で行う調査業務
探偵業届出証明書番号とは
探偵業届出証明書番号とは、公安委員会が探偵業の届出を受理したことを証明する番号です。届出を行うと「探偵業届出証明書」が交付され、営業所の見やすい場所への掲示が義務付けられています。
また、契約締結前には、依頼者に対して証明書の記載事項を記載した書面を交付し、説明しなければなりません。
探偵業開始届出の申請の流れ
探偵業開始届出は、以下の流れで進みます。
① 必要書類の作成
個人として届出を行うか、法人として届出を行うかによって、必要書類の内容が異なります。記載漏れや添付書類不足がないよう注意が必要です。
② 書類の提出
探偵業務を開始する前日までに、営業所を管轄する警察署を経由して公安委員会へ届出を行います。
③ 届出証明書の交付
届出が受理されると、公安委員会から探偵業届出証明書が交付されます。交付後は、速やかに営業所へ掲示しましょう。
探偵業開始届出に必要な書類
探偵業を開始しようとするときは、以下の必要書類を揃えて届出を行います。
個人として届出を行う場合
- 探偵業開始届出書
- 履歴書
- 住民票の写し(本籍地または国籍記載、マイナンバーなし)
- 誓約書(法第3条第1号~第6号に該当しない旨)
- 身分証明書(市区町村発行)
※未成年者の場合は、法定代理人に関する追加書類が必要です。
法人として届出を行う場合
- 探偵業開始届出書
- 定款の謄本
- 登記事項証明書
- 役員全員分の履歴書
- 住民票の写し
- 身分証明書
- 誓約書(法第3条第1号~第5号に該当しない旨)
探偵業の欠格事由
以下のいずれかに該当する者は、探偵業を営むことができません。
破産者で復権を得ていない者
破産手続開始決定を受け、免責等による復権を得ていない者は、信用性に欠けるとして探偵業を営むことが禁止されています。復権を得た後であれば届出は可能です。
禁錮以上の刑、または探偵業法違反で処罰され、5年を経過していない者
禁錮以上の刑や探偵業法違反により罰金刑を受けた場合、その刑の執行終了等から5年を経過しない間は探偵業の届出ができません。
過去5年以内に営業停止・廃止命令に違反した者
探偵業法に基づく営業停止命令や営業廃止命令に違反した経歴がある場合、処分確定後5年間は探偵業を営むことができません。
暴力団員、または離脱後5年を経過していない者
暴力団員や、暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者は、反社会的勢力排除の観点から探偵業への参入が禁止されています。
欠格事由に該当する者が役員に含まれる法人
法人の場合、代表者だけでなく役員のうち一人でも欠格事由に該当すると、その法人全体が探偵業を営むことはできません。
探偵業者に課される主な義務
探偵業者は、探偵業法により次のような義務を負います。
名義貸しの禁止
探偵業の届出をした者が、自身の名義を他人に貸して探偵業を営ませることは禁止されています。名義貸しは重大な法令違反となります。
違法調査・権利侵害行為の禁止
探偵業であっても、尾行や聞込みなどの調査方法が他の法令に違反したり個人の権利利益を侵害したりする行為は認められていません。
契約前・契約後の書面交付義務
契約前には重要事項説明書を、契約後には契約内容を記載した書面を依頼者へ交付する義務があり、トラブル防止が目的とされています。
秘密保持義務
業務上知り得た個人情報や秘密について、正当な理由なく第三者に漏らしてはなりません。この義務は退職後も継続します。
従業員への教育義務
探偵業者は、従業員に対し、探偵業法や適正な調査方法、個人情報保護に関する教育を行う義務があります。
従業員名簿の備付け・保存
営業所ごとに従業員名簿を作成し、氏名・住所・写真等を記載したうえで、退職後も3年間保存しなければなりません。
届出証明書の掲示
公安委員会から交付された探偵業届出証明書は、営業所の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。
契約締結前後の書面交付義務
契約締結前後には、次の書面を交付することが義務付けられています。
契約締結前
契約前には、調査内容・料金概算・秘密保持・契約解除条件などの重要事項について、書面を交付し説明する必要があります。
契約締結後
契約締結後は、調査内容・期間・方法・報告方法・支払条件等を記載した書面を依頼者に交付しなければなりません。
探偵業に対する行政処分
探偵業法に違反した場合、以下の行政処分を受けることがあります。
- 指示
- 営業停止命令(6か月以内)
- 営業廃止命令
処分を受けた場合、届出証明書番号や処分内容等が公表されるため、事業者の信用に大きな影響を及ぼします。
手続先・費用
手続先
主たる営業所の所在地を管轄する警察署を経由し、公安委員会宛てに提出します。
費用
- 探偵業開始届出:3,600円
- 変更届出:1,500円
- 廃止届出:無料
探偵業開始届出申請のサポートは行政書士へ
探偵業の届出は、書類の正確性や法令理解が不可欠です。
当事務所では、探偵業開始届出に関する書類作成・提出代行・法令アドバイスを行っています。初めて探偵業を始める方や、確実に手続きを進めたい方は、お気軽にご相談ください。








