旅客自動車運送事業許可とは、他人の需要に応じ、有償で自動車を使用して旅客を運送する事業を行うために必要となる許可です。道路運送法等の関係法令に基づき、事業の種類ごとに許可区分・審査内容・提出書類が定められています。
旅客自動車運送事業の種類
旅客自動車運送事業は、大きく一般旅客自動車運送事業と特定旅客自動車運送事業に分かれ、さらに一般旅客は運送形態により区分されます。
一般旅客自動車運送事業
不特定多数の旅客の需要に応じて行う運送事業です。
一般乗合旅客自動車運送事業(路線バス・乗合バス等)
運行する時間と経路をあらかじめ定め、不特定多数の旅客を乗り合わせて運送する事業(路線バス、都市間バス等)をいいます。
一般貸切旅客自動車運送事業(観光バス等)
一般に貸切バス事業と呼ばれ、1個の契約により乗車定員11人以上の自動車を貸し切って旅客を運送する事業をいいます。
一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー・ハイヤー等)
一般にハイヤー・タクシー事業と呼ばれ、1個の契約により乗車定員11人未満の自動車を貸し切って旅客を運送する事業をいいます。
特定旅客自動車運送事業
ある特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送することのみを事業とする旅客自動車運送事業です。
一般旅客自動車運送事業の許可申請と必要書類
一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません(道路運送法等)。
※事業の実態(運送形態・契約形態・使用車両等)により、許可区分や追加対応(試験等)の要否が変わるため、申請前の整理が重要です。
一般旅客自動車運送事業の許可要件
許可を受けるには、次の要件に適合していることが必要です。
【1】輸送の安全確保に適切な計画であること
当該事業の計画が、輸送の安全を確保するため適切なものであること。
【2】 事業遂行上、適切な計画を有すること
【1】に掲げるもののほか、当該事業の遂行上適切な計画を有すること。
【3】事業を適確に遂行する能力があること
当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有すること。
【4】欠格要件に該当しないこと
例として、次のような場合は欠格要件に該当します。
- 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、執行終了等から2年を経過していない者
- 一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業の許可取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者(法人の役員等として在任した者を含む)
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人で、法定代理人が上記に該当する場合
- 法人で、役員が上記に該当する場合
一般旅客自動車運送事業の許可申請に必要な書類
個人・法人、また事業計画の内容により必要書類は増減しますが、記事内容を整理すると主に次のとおりです。
【1】許可申請の基本書類
- 許可申請書
- 事業用自動車の運行管理体制
- 資金及びその調達方法を記載した書面
- 休憩、仮眠又は睡眠のための施設の概要
- 損害賠償措置を講じていることを証する書類(生命・身体・財産の損害に備える措置)
【2】法人の場合の主な添付書類
- 定款
- 法人登記簿謄本
- 貸借対照表
- 役員名簿
- 役員の履歴書
【3】個人の場合の主な添付書類
- 資産目録
- 戸籍抄本
- 履歴書
【4】欠格事由に該当しないことを証する書類
- 欠格事由に該当しないことを証する書類一式
【5】施設・車両関係
- 営業所、車庫、休憩施設の見取図
- 道路幅員証明
- 車検証、購入契約書、リース契約書
【6】代理申請等
- 委任状(必要な場合)
一般旅客自動車運送事業の許可申請手続きの流れ
一般旅客自動車運送事業の許可の申請手続きの流れを確認しておきましょう。
事前準備(許可要件のチェック等)
事業の種類(乗合・貸切・乗用・特定)を整理し、運行管理体制・施設(営業所、車庫、休憩施設)・資金計画・賠償措置など、要件を満たす計画になっているか確認します。
添付書類の取得・申請書類の作成
法人・個人の別に応じて、定款や登記事項証明書、資産目録等を収集し、申請書類一式を整えます。
管轄の運輸支局へ提出(審査)
管轄の運輸支局へ提出します(審査期間の目安:およそ3カ月)。
法令試験の受験(事業の種類による)
申請する事業の種類によっては、法令試験の受験が必要となります。
許可の通知・許可証の交付
審査を経て許可の通知がされ、許可証が交付されます。
登録免許税の払込
許可後、登録免許税を納付します(例:一般乗用旅客自動車運送事業〔介護タクシー等〕30,000円)。
許可後の各種手続き
- 運行管理者・整備管理者選任届出
- 営業所・車庫等の施設整備
- 法定帳票類の整備
- 車両登録(営業ナンバー取得)
- 車両の整備(表示、清掃消毒等)
- 運輸開始届
営業開始
許可後6カ月以内に運輸開始しなければなりません。
手続先・窓口(北海道の例)
申請窓口や費用は以下の通りです。北海道の場合は運輸局または運輸支局で手続きを行います。
提出先
地方運輸局長に正本1通、申請地を管轄する運輸監理部長または運輸支局長に副本1通の計2通を提出します。
※営業区域が2以上の管轄区域にわたるときは、各管轄区域ごとに1通追加します。
窓口
- 北海道運輸局:札幌市中央区大通西10丁目 札幌第二合同庁舎
- 札幌運輸支局:札幌市東区北28条東1丁目
申請にかかる費用
- 一般乗用旅客自動車運送事業(介護タクシー等)登録免許税:30,000円
※このほか、事業内容・申請内容により必要経費(書類取得費等)が発生します。
関係法令
- 道路運送法
- 道路運送法施行令
- 道路運送法施行規則
- 旅客自動車運送事業運輸規則
- タクシー業務適正化特別措置法 等








