2006年の会社法施行により、合同会社という新形態が誕生しました。アップルジャパン合同会社やアマゾンジャパン合同会社など、グローバル企業が合同会社という形を選択していることからも、その認知度は徐々に高くなり、設立件数も右肩上がりといわれています。ここでは、合同会社の設立手続きとその流れ、必要書類、そして設立後にやることをまとめて説明していきます。
合同会社を設立する前の手続き
合同会社を設立する前に、さまざまなことを決めておかなければなりません。どのような準備が必要になるのか、代表的なものを確認していきましょう。
会社としての基本事項を決定する
後に法務局での登記申請に必要な事柄は、あらかじめ決定しておきましょう。代表的な事項として以下を挙げることができます。
- 商号
- 事業内容
- 本店所在地
- 資本金額
- 決算期間 など
定款を作成する
株式会社と同様、合同会社でも定款を作成します。定款は法律に則ったかたちで作成する必要がありますので、できるだけ専門家による助言を受けて着手した方がいいでしょう。
合同会社の定款作成で特徴的なのは、公証人による定款認証が不要である点です。ただし、紙の定款作成費用には収入印紙4万円分が必要なので、定款作成に関する費用がどれくらいかかるかは事前によく調べておきましょう。
定款に記載すべき事項
- 社員による定款の作成
会社法第575条第1項に基づけば、合同会社設立にあたり定款を作成したら、社員全員が定款に署名、または記名押印しなければなりません。また、定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」のについて記載する必要があります。なお、合同会社の定款は公証人の認証を受ける必要はありません。
ア 絶対的記載事項
定款には、次に掲げる事項を記載しなければなりません(会社法第576条第1項)。
(ア) 目的
(イ) 商号
(ウ) 本店の所在地
(エ) 社員の氏名又は名称及び住所
(オ) 社員の全部を有限責任社員とする旨
(カ) 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準
イ 相対的記載事項
相対的記載事項とは、会社法の規定により定款に定めがなければその効力を生じない事項をいいます。
- 持分の譲渡の要件(会社法第585条第4項)
- 業務を執行する社員(業務執行社員)の指名又は選任方法(会社法第590条第1項)
- 社員又は業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法(会社法第590条第2項、第591条第1項)
- 合同会社を代表する社員(代表社員)の指名又は互選(会社法第599条第3項)
- 存続期間又は解散の事由(会社法第641条第1号、第2号) 等
ウ 任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款の記載事項のうち、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項で、会社法の規定に違反しないものをいいます。
- 業務執行社員の員数
- 業務執行社員の報酬
- 事業年度 等
※法務局ホームページ参照
出資する
出資金額は定款に定められています。定めた金額を自分の口座に振り込み、その日を出資日とします。なお、自分の口座から一旦全額を引き出したのち出資金を振り込む必要があるなど、注意すべき点もありますので、出資金振込手続きについてあらかじめ調べておくか、あるいは専門家による助言を受けておくことをおすすめします。
登記申請する
会社の本店所在地を管轄する法務局に対し、設立登記の申請を行います。申請の際に必要になる書類として以下を挙げることができます。
- 合同会社設立登記申請書
- 登録免許税の収入印紙貼付台紙
- 定款
- 代表社員の印鑑証明書
- 出資金払込を証する書面
- 印鑑届書
実際には、定款のなかでどのように定めているかにより提出書類は変わりますので、法務局に確認するか専門家に相談するなどして手続きを進めましょう。
合同会社設立のための必要書類一覧
株式会社の設立と比べると、合同会社設立のための必要書類はやや簡略化されているといってもいいでしょう。まずは必要書類一覧を整理してみます。
合同会社設立登記申請書と添付書類
- 合同会社設立登記申請書:1通
- 添付書類
- 定款 1通
- 代表社員,本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面 1通
- 代表社員の就任承諾書 1通(合同会社を代表する社員が法人である場合には,次の①から③までの書面が必要です。また,業務執行社員が法人である場合には,次の①の書面が必要です。)
- 登記事項証明書 1通
- 職務執行者の選任に関する書面 1通
- 職務執行者の就任承諾書 1通
- 払込みがあったことを証する書面 1通
- 資本金の額の計上に関する代表社員の証明書 1通
- 司法書士等を代理人として登記を申請する場合、委任状
- 印鑑届出書
- 代表社員の印鑑証明書
※法務局ページ参照
代表社員の印鑑証明書
合同会社設立登記申請書と印鑑届書に押印する際、代表社員の実印が必要になります。実印の証明として印鑑証明書を添付しなければなりません。印鑑証明書は、最寄りの役所またはコンビニエンスストアで取得することができます。
払込みがあったことを証する書面
出資金を払い込んだ証明として、書類を作成し提出します。
- 通帳コピー:表裏面、出資金払込み済みページをコピーする
- 払込証明書・通帳表面・通帳裏面・払い込み済みページの順に揃えて閉じる
- 各ページの見開き部分に実印を押印する
印鑑届書
印鑑届書は、法務局のホームページからダウンロードして使用します。代表社員の実印同様、会社の実印も登録を行う必要があります。そのための書類が印鑑届書で、法務局のホームページからテンプレート及び記載例がダウンロード可能です。
合同会社設立後にやること
合同会社の登記が完了したら、実際に会社を運営していくための各種手続きに移らなければなりません。ここでは、合同会社設立後にやることを説明していきます。
各種手続きのための書類準備
合同会社を設立したら、銀行や年金事務所、税務署へ手続きに行かなければなりません。その際の必要書類として、会社の登記簿謄本と印鑑証明書を取得しておきます。
許認可申請
会社の登記が済んだら、速やかに許認可申請を行う必要があります。スムーズな事業開始に向けて、行政書士に業務を依頼することも検討してみましょう。許認可取得のためには正しい申請が必要であることに加え、手間と労力を上手に軽減し余裕を持って各種手続きを行ううえでもお勧めされます。
会社用銀行口座の開設
合同会社を設立したら、できるだけ早く会社用の口座を開設しておくことが大切です。今後の取引をスムーズに進めるためにも、以下の書類を用意して手続きを行いましょう。
【必要書類(例)】
- 会社の登記簿謄本
- 定款
- 合同会社代表者の印鑑証明書
- 本人確認書類
- 会社の銀行印 など
日本年金機構へ新規適用の手続きを行う
会社を立ち上げ法人になると、社会保険への加入義務が生じます。従業員を採用した日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険・介護保険」の加入手続きをしなければなりません。必要書類を準備し年金事務所で手続きを行いましょう。
【必要書類】
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険被扶養者(異動)届
また、以下に該当する事業所は厚生年金保険・健康保険に加入することが義務付けられているので、日本年金機構に対し新規適用の手続きを行います。年金事務所に提出する代表的な手続き書類は以下の通りです。
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
厚生年金保険は、事業所単位で適用されます。
強制適用事業所
厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて厚生年金保険の適用事業所となります。被保険者となるべき従業員を使用している場合は、必ず加入手続きをしなければいけません。
任意適用事業所
上記(1)の適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。
※日本年金機構ホームページより抜粋
ハローワークまたは労働基準監督署への届出
従業員に雇用保険を適用させるためには、会社が雇用保険適用事業所である必要があります。雇用保険加入は義務ですから、必ず手続きを行いましょう。必要な届出は以下の通りです。
【ハローワークまたは労働基準監督署】
- 労働保険の保険関係成立届
【ハローワーク】
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
【労働基準監督署】
- 保険関係成立届(ハローワークに提出も可)
- 概算保険料申告書
- 就業規則届
- 適用事業報告書
添付書類について
特に、雇用保険適用事業所の届けを出すときは添付書類も忘れず提出します。
【雇用保険適用事業所届の添付書類】
- 会社の登記簿謄本
- 事業実態が確認できる書類(各種許認可通知書など、業務請負契約書、納品・請求・領収書のセットなど)
また、雇用保険被保険者資格取得届については以下の添付書類が必要になります。
- 【雇用保険被保険者資格取得届の添付書類】
労働者名簿 - 出勤簿またはタイムカード
- 賃金台帳または給与明細
- 労働基準法に基づく労働条件通知書など
なお、雇用保険の対象となる従業員は以下の条件を満たしていなければなりません。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上継続して雇用される見込みがあること
税務署への届出
税務署への届出に必要な書類を確認しておきましょう。
法人設立届出書
法人税などの納付目的で届け出るものです。届出書には登記完了時に発行された法人番号が必要になります。
青色申告の承認申請書
法人は通常、青色申告を行います。青色申告の承認申請書を提出して適用対象になりましょう。会社設立の日から数えて3ヶ月以内に、税務署に対し青色申告承認申請書を提出します。
所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員数10人未満である場合、当該申請書を提出することで、源泉徴収税を年2回にわたりまとめて納めることができます。
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、所得税及び復興特別所得税について、次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。
- 1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・7月10日
- 7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・翌年1月20日
※国税庁ホームページ参照
給与支払事務所等の開設届出書
従業員や役員に給与もしくは報酬を支払う事業所の設立を税務署に知らせるための届出です。社員・役員に給与を支払う事務所として、「給与支払事務所等の開設届出書」を会社設立から1ヶ月以内に税務署に提出します。
各自治体に対する手続き
合同会社の本店所在地を管轄する自治体に対して、法人設立届出書を提出します。届出が受理されると、以後は当該自治体に法人住民税・法人事業税を納付することになるのです。
決められた期限内に、以下の場所に設立届を提出します。
- 都道府県税事務所:設立後1ヶ月以内
- 市区町村役場:設立後1ヶ月以内
- 税務署:設立後2ヶ月以内
まとめ
株式会社に比べると手続き面で若干簡略化されているとはいえ、初めて合同会社を設立する人にとって手間と労力を要するものであることは確かでしょう。
関連法にも対応していなければいけませんので、心配な方は一度、当事務所の無料相談をご利用ください。どのような点にご心配を感じておられるかしっかりとヒアリングし、アドバイスさせていただきますので、手探りの会社設立手続きに明確な道筋を付けられるはずです。ぜひお気軽にお問い合わせください。








