社会福祉法人を立ち上げるためには金銭的な要件を満たす必要があります。ここでは、社会福祉法人の設立に必要な費用について説明していきます。
財産に関する要件とは
社会福祉法人は、社会福祉事業を営むことを目的としており、非常に公益性が高い法人として位置づけられています。一般的な会社のように資金調達することができないため、社会福祉法人特有の形で財産を確保しなければなりません。
特有の財産制度として基本金の仕組みが適用されますので、いかに寄附金などを多く集められるかがカギとなってくるでしょう。基本金はあくまでも法人運営のために集められた財産であり、法人設立や施設創設などを使途とします。一部、収益事業を行うことも可能ですが、基本金および利益は法人としての事業展開に使うものであり、金銭の拠出者に対して剰余金を分配することはできません。
また、設立要件として、社会福祉法人には理事や監事、評議員会の設置が義務付けられています。さらに資金要件もあり、運転資金から事務費にいたるまで一定以上の金額を準備する必要があるため、要件をクリアすることは決して簡単ではないといえるでしょう。特に資産要件は正しく確認のうえ準備を進めていくことが大切です。
加えて、設立時には初年度の事業運営に必要な年間運営費相当額の確保が求められるのが一般的であり、人件費・施設維持費・光熱費などを見込んだ資金計画を事前に策定しておく必要があります。
また、寄附金だけでなく、自治体補助金・借入金・自己資金など複数の資金源を組み合わせて財政基盤を整備することが、認可審査において重要な判断要素となります。
資産の要件
極めて公益性の高い社会福祉事業を安定的に営むのですから、当然ながら余裕を持った財政状況が求められます。厚生労働省の資料によれば、社会福祉法人は次の資産要件を満たすよう記載されています。
- 社会福祉事業を行うために直接必要なすべての物件について所有権を有すること又は自治体等から貸与等を受けていること
- 社会福祉施設を経営する法人は、その不動産を、社会福祉施設を経営しない法人にあっては原則として1億円以上の資産を基本財産としなければならない。
※厚生労働省資料より抜粋
なお、すべての物件について貸与もしくは使用許可を得ている場合は、現金や預貯金を含め別途1,000万円以上の基本資産を有している必要があります。
また、以下に該当する場合は資産要件が緩和されます。
以下の事業の経営を目的として法人を設立する場合の基本財産額については、一定の要件を満たした場合に緩和している。
(1)居宅介護等事業(いわゆるホームヘルプ事業)の経営
(2)地域・共同生活援助事業(いわゆるグループホーム事業)の経営
(3)介助犬訓練事業又は聴導犬訓練事業の経営
該当する場合は、5年間の事業実績と1県内での事業実施を要件として、1,000万円以上の基本財産で足りることとする。
※厚生労働省資料より抜粋
さらに、施設整備を伴う場合には建設費用や設備費用の資金計画、借入金返済計画についても審査対象となり、長期的に安定経営が可能かどうかが確認されます。
金融機関からの借入を予定している場合は、返済財源の裏付け(介護報酬収入見込み等)を具体的に示すことが大切です。日々の運転資金などを正しく管理するために、出納帳はもちろん総勘定元帳に収支を記録し、照合していかなければなりません。加えて、社会福祉法人会計基準に基づく区分経理・内部統制体制の整備も求められますので、設立段階から会計管理体制を構築しておくことが重要です。
資産に関する認可基準
社会福祉法人を設立するためにはさまざまな要件を満たしていなければならず、財産・資産に関しては常に次の状態にあるよう厳しく自己管理することが大切です。
- 資産は十分にあるか
- 社会福祉事業の目的に沿ったものか
- 定款の記載事項に反していないか など
例えば、定款ではあらゆる角度から社会福祉法人の在り方を定めていますが、財産・資産に関しては、特に以下の項目に正しく沿った形であることが求められます。
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 公益事業を行う場合には、その種類
- 収益事業を行う場合には、その種類
どのような活動・行為によりいくらの金銭を得て、どのような目的のために金銭が使われたのか、公益性の高い社会福祉法人だからこそ特に厳しい管理が必要なのです。
また、所轄庁の認可審査では、将来収支見込み・資金繰り計画・事業継続性が重点的に確認され、単に資産額を満たすだけでは足りない点にも注意が必要です。
まとめ
公益性の高さが社会福祉法人の特徴であり、社会福祉にかかわる事業を行うからこそ設立要件は厳しく設定されています。膨大な資料を作成・準備したり自治体と協議を行ったり、設立時の負担はとても大きなものだといえるでしょう。入念な下調べをしたとしても、極めて細かな手続きを正しく進めることは簡単ではありません。
社会福祉法人の設立を検討している場合は、ひとりで抱え込むことなく専門家に相談されることをおすすめします。当事務所では無料相談をご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。








