昨今では日本でも学生のうちに起業するケースが増えてきました。気になるのは、学生という身分で日本政策金融公庫から事業融資を受けることができるのかということです。ここでは、起業した学生が融資を受けるために必要なことについて説明していきます。
学生起業でも融資申込み条件は同じ
日本政策金融公庫から融資を受けることを想定した場合、学生起業であることを理由に資金を借りることができないといったことはありません。日本政策金融公庫は国の機関であり、日本の経済活性化を目的とする非営利機関ですから、小規模事業者や個人事業主でも利用できる融資制度を複数提供しています。学生起業も例外ではありません。積極的に融資することで、日本経済の根底を強化することを目指しているからです。
なかでも新創業融資制度は、学生起業の事業者にとって非常に助かるものとなるでしょう。創業を控えた時期や創業後の慌ただしい期間にある事業者を支える制度といっても過言ではありません。学生の場合、担保や保証人を用意するところに難しさがありましたが、利用する融資制度によっては無担保・無保証、自己資金1割程度でも申込むことができるものもあります。これら無担保・無保証の制度のなかには新創業融資制度も含まれます。
未成年の場合に注意すべきポイント
学生起業のなかでも、申込者が未成年(18歳未満)の場合には注意が必要です。日本政策金融公庫の融資申込み自体は可能ですが、契約行為にあたるため、原則として親権者の同意書や連帯保証が求められるケースがあります。成年(18歳以上)の学生起業と比べ、手続きが増える可能性がある点は事前に理解しておきましょう。
学生起業で求められる主な提出書類
学生であっても、融資審査に必要な書類は一般の創業者と大きく変わりません。主に次のような書類が求められます。
- 創業計画書(事業計画書)
- 本人確認書類
- 預金通帳(自己資金確認用)
- 見積書(設備資金を借りる場合)
アルバイト収入などの収入状況がわかる資料
書類の完成度は審査結果に直結するため、学生であることを理由に簡略化されることはないと考えておく必要があります。
学生起業における面談で見られるポイント
学生起業の場合、日本政策金融公庫の面談では次のような点が特に重視される傾向があります。
- 学業と事業をどのように両立させる予定か
- なぜ学生のうちに起業しようと考えたのか
- 卒業後の事業継続の見通し
- 生活費と事業資金の区別ができているか
これらは「事業を途中で投げ出さないか」「継続的に返済できるか」を見極めるための質問であり、論理的かつ現実的に答えられるよう準備しておくことが重要です。
学生起業で融資を受ける際の注意点
学生起業は将来性が評価される一方で、事業経験や社会経験が乏しい点が弱点になりやすいといえます。そのため、売上予測や収支計画が過度に楽観的だと、審査ではマイナス評価につながる可能性があります。実現可能性を重視し、無理のない計画を立てることが重要です。
自己資金の貯め方と審査への影響
先に述べた新創業融資制度を利用した場合、仮に1,000万円を借入れたときの自己資金は1割相当の100万円となります。学生という本業を持ちながら100万円を稼ぎ自己資金とすることは決して簡単ではないでしょう。しかし、実際に融資を受けることができれば事業開始を大きく支えてくれることになりますし、学生が自力で100万円を用意できれば、その事実も審査で評価される要素になることが考えられます。
逆に、100万円の自己資金を作ることができなかった場合、事業に対する姿勢が問われることになりかねませんし、実際に事業を開始したとしても自力で稼ぐ力があるかどうか疑問視される可能性も出てきます。学生という身分で事業を開始することは決して簡単ではありませんから、日本政策金融公庫としては、自己資金を通して事業への真剣度を計っている部分もあるといえるでしょう。では、どのようにして自己資金を貯めていけばいいのでしょうか。
アルバイトをしながら自己資金を貯めていく
学業を主としながら自己資金を貯めていくには、学業の合間を使ってアルバイトするのが最もシンプルかつ確実な方法です。融資額にもよりますが、例に挙げた100万円を目指す場合、アルバイトで月に8万円~9万円稼ぐことができれば、1年以内に自己資金を貯めることは不可能ではないでしょう。
ただし、十分に時間をかけてしっかり事業計画を練り、アルバイトをして自己資金額の準備状況を見通し、最終的に創業融資にいたるようスケジュールを組むことが大切です。綿密な計画あってこそ自己資金を貯めることができ、事業に向けたモチベーションが維持され、いざ融資審査の際には審査担当者に与える心証も良くなることが期待できるでしょう。
なお、昨今では、事務所を借りず自宅兼事業所として事業を開始するケースが増えてきました。パソコンを使ってインターネット店舗を運営すれば、事業所の家賃分の設備費用は必要なくなります。その分、借り入れる金額は少なくなり、用意すべき自己資金額も小さくて済むでしょう。
まとめ
学生起業でも、融資審査では一般の起業と同様の扱いを受けることになりますが、唯一、業界における事業経験が不足している点は否めません。その分、アルバイト先を起業予定の分野に絞って経験を積んだり、自己資金が貯まるまでの時間を使って自治体の経営講座を受講したりするなどして、真剣に起業を考えている事実を積み上げていくといいでしょう。学生だからこそ柔軟な発想で不足分を補い、少しでもやる気を伝える材料を作ることができるのだといえます。








